国際資格編【神楽坂 雅編】 資格

【外交官の遊戯 File.04】摩天楼のゲーム|富裕層が学ぶ【CIPS(国際不動産スペシャリスト)】の戦場

国際不動産

【登場人物】

  • 神楽坂 雅(かぐらざか みやび):
    歩く国際連合(ウォーキング U.N.)。今回は、亡き恩師との約束を果たすため、CIPSの知識を武器に、ニューヨークの不動産詐欺に挑む。
  • 橘 隼人(たちばな はやと):
    ザ・ゲームメーカー。人生を「面白いか、否か」で判断する天才投資家。「美しくないプレイヤー」を退場させるゲームのため、雅と一時的に共闘する。
  • 八神 螢(やがみ ほたる):
    デジタル・ウィッチ(電子の魔女)。日本から、雅と橘という、二人の天才からの指示を完璧にこなし、摩天楼の嘘をデジタルで暴き出す。
  • J.J.・ハタナカ:
    摩天楼の詐欺師。紳士的な仮面の下に、日本人富裕層を喰らう、貪欲な牙を隠す、悪徳不動産ブローカー。
  • 高遠 咲子(たかとお さきこ):
    気高き未亡人。亡き夫との最後の夢を叶えるため、ニューヨークのペントハウスの購入を決意するが、巨大な罠に足を踏み入れてしまう。

イントロダクション

ニューヨーク、マンハッタン。
神々が住まうと謳われる、摩天楼の頂。
セントラルパークの緑が、眼下に広がる、ペントハウスのモデルルーム。
その窓から差し込む光の中で、高遠咲子は、夢の実現を、目前にしていた。

「――ここが、あなたと、亡きご主人様の、新しい人生の、始まりの場所です」

紳士的なブローカー、J.J.・ハタナカの、甘い声が響く。
完璧な眺望。完璧なセールストーク。
咲子の心は、決まりかけていた。
亡き夫と、いつか、二人で、と語り合った、最後の夢。

だが、契約書を前にした、その時。
彼女の胸に、拭いきれない、小さな棘が、刺さる。
一人で、決めてしまって、本当に、いいのだろうか。
この、目の前の紳士を、本当に、信じて、いいのだろうか。

その、小さな不安は、ニューヨークの喧騒に、かき消されようとしていた。
地球の裏側、東京にいる、一人の男が、そのSOSを、聞きつけるまでは。

摩天楼という、巨大なチェス盤の上で、
欲望と、欺瞞に満ちた、新しいゲームが、
今、静かに、始まろうとしていた。

第1章:富裕層が学ぶ【CIPS(国際不動産スペシャリスト)】、摩天楼からのSOS

東京、西麻布。
神楽坂雅のオフィスを、深夜の静寂が、支配していた。
彼が、一杯の茶を口に含んだ、その時。
国際電話の着信音が、静寂を、破った。
ディスプレイに表示されたのは、『高遠 咲子』の、名前。
雅の脳裏に、今は亡き、恩師の顔が、浮かび上がる。

「…もしもし、雅さん?夜分に、ごめんなさいね」

受話器の向こうから聞こえてきた、咲子の声は、明るく、気丈だった。
だが、雅の耳は、その声の奥に潜む、僅かな、迷いの響きを、聞き逃さなかった。
彼女は、ニューヨークでの、素晴らしい日々を語った。
亡き夫との夢だった、ペントハウスの購入が、いよいよ、現実になるのだと。

「…ただ、少しだけ、気になってしまって」
咲子の声が、僅かに、曇る。
「契約書の、細かい部分が、少し、難しくて…。J.J.さんは、とても、良い方なのだけれど」

良い人。
その言葉が出た瞬間、雅の心に、小さな、警鐘が鳴った。
本当に信頼できる人間を、人は、わざわざ、「良い人」とは、評価しないものだ。

「咲子様」
雅の声は、あくまで、穏やかだった。
「もし、差し支えなければ、その契約書を、一度、データで、お送りいただけますかな?時差もございます。明日の朝までには、拝見しておきますゆえ」

「まあ、ありがとう。でも、あなたも、お忙しいでしょうに…」

「いえ。先生には、返しても、返しきれない、恩がございます」
雅は、静かに、しかし、力強く、言った。
「先生が、愛した人を、お守りするのは、私の、務めにございます」

電話を切った雅の元に、すぐに、咲子から、契約書のデータが、送られてきた。
雅は、そのファイルを開くと、一瞬で、表情を、凍りつかせた。
そこに、並んでいたのは、素人が見れば、気づくことすらない、しかし、プロの目から見れば、悪意以外の、何物でもない、毒の条文の、羅列だった。

雅は、静かに、立ち上がった。
そして、デスクの上の、内線電話のボタンを、押す。
相手は、一人しかいない。

「…螢君。すぐに、ニューヨーク行きの、一番早い便を」

その声は、もはや、穏やかな、案内人のものではなかった。
恩師の、愛する人を、そして、その夢を、喰らおうとする、見えざる敵の喉元に、静かに、切っ先を突きつけた、剣聖の、声だった。

第2章:富裕層が学ぶ【CIPS(国際不動産スペシャリスト)】、紳士と詐欺師

ニューヨーク、五番街。
世界の富と、欲望が、渦巻くストリート。
その一角に聳え立つ、超高級ホテルの、最上階。
契約の席は、そこに、用意されていた。

高遠咲子は、緊張した面持ちで、J.J.・ハタナカと、向き合っていた。
J.J.は、昨日と、変わらない、完璧な笑顔を、浮かべている。
「さあ、咲子さん。あなたの、新しい人生への、サインを」

彼が、万年筆を、咲子の手へと、促した、その時だった。

「――お待ちください」

凛とした、静かな声が、その場の空気を、一変させた。
全員の視線が、部屋の入り口に、注がれる。
そこに立っていたのは、長旅の疲れなど、微塵も感じさせない、完璧なリネンのスーツに身を包んだ、神-楽坂雅だった。

「…失礼。こちらは、どなたかな?」
J.J.の笑顔が、僅かに、引きつる。

「高遠咲子様の、代理人として、参りました、神楽坂と申します」
雅は、優雅に、一礼すると、咲子の隣の席に、静かに、腰を下ろした。
そして、J.J.の目を、真っ直ぐに、見つめた。
「契約の前に、いくつか、確認させていただきたい点が、ございましてな」

そこから、静かだが、壮絶な、知性の戦いが、始まった。
雅は、契約書の一文一文を、指し示しながら、その欺瞞を、暴いていく。

「…まず、こちらの、管理費に関する、条項。ニューヨーク州の、不動産法では、管理組合の、将来的な、大規模修繕計画の、開示が、義務付けられている。その、添付資料が、ございませんな」

「次に、こちらの、税務に関する、記述。日米間の、租税条約によれば、不動産の、譲渡益に対する、課税は…」

雅の口から語られるのは、**CIPS(国際不動産スペシャリスト)**の知識に裏打ちされた、誰も、反論することのできない、事実の刃。
それは、付け焼き刃の知識ではない。
世界の、不動産取引の、本質を、体系的に、学び尽くした者だけが、振るうことのできる、真剣だった。

だが、J.J.も、ただの詐欺師ではなかった。
彼は、雅の、鋭い指摘を、巧みな話術で、いなしていく。
「ああ、その件なら、後ほど、専門の弁護士から、説明させますよ」
「税金の話は、複雑ですからね。ご心配には、及びません」

彼は、決して、正面からは、戦わない。
全ての攻撃を、のらりくらりと、かわしながら、咲子の、不安な心に、甘い言葉を、囁き続ける。
「咲子さん。専門家同士の、難しい話は、これくらいにしましょう。大切なのは、あなたの、夢なのですから」

雅は、内心、舌を巻いた。
手強い。
この男は、法や、理論で、追い詰めるだけでは、尻尾を、掴ませない。
守るだけでは、勝てない。
このゲームには、まだ、決定的な、一手が、欠けている。
雅は、静かに、思考を、巡らせた。
この、膠着した盤面を、打ち破るための、次なる一手を。

第3章:富裕層が学ぶ【CIPS(国際不動産スペシャリスト)】、予測不能なプレイヤー

第3章:富裕層が学ぶ【CIPS(国際不動産スペシャリスト)】、ゲームメーカーの参戦

その夜。
マンハッタンの夜景を一望できるホテルのバー。
神楽坂雅は一人グラスを傾けていた。
彼の表情は硬い。
昼間のJ.J.との交渉。
雅は契約の危険性を指摘しその場でのサインは阻止した。
だが決定的な証拠がないためJ.J.を追い詰めるには至らなかった。
J.J.は今も甘い言葉で咲子さんの心を揺さぶり続けている。
このままでは彼女がいつその毒牙にかかるか分からない。
雅は自らの無力さに静かに唇を噛んだ。

その時背後から聞き覚えのある声がした。
「――随分と渋い顔をしているな神楽坂雅」
橘隼人だった。

「…橘さん」

「君らしくもない。らしくもない顔だ」
橘は雅の隣の席に腰を下ろすとバーテンダーに何かを注文した。
「君ほどの男が手こずるとは。相手はよほどの大物か?」

雅は橘の真意を探るように彼を見つめた。
そして簡潔に事の経緯を話した。
J.J.という悪徳ブローカーのこと。
隠された抵当権のこと。
そして今も危険な罠の中にいる一人の未亡人のこと。

全てを聞き終えた橘はしばらく黙っていた。
そして届けられたグラスを一口煽ると静かにこう言った。
「…美しくないな」

その声はいつもの軽薄さなど微塵もない心の底からの嫌悪に満ちていた。
「弱い者から夢まで奪う。そんな美しくないプレイヤーが俺の市場にいることは許せない」

橘は雅の顔を真っ直ぐに見た。
その瞳は最高のゲーム盤を見つけたプレイヤーのそれだった。

「面白い。そのゲーム俺も参加しよう」
「…何?」
「君は君の依頼人を外から守れ。それでいい。あの蛇を穴から引きずり出してその首を刈り取るのは俺の役目だ」

それは取引ではなかった。
ただ自らの美学に反する存在を許せないという一点だけでこの男は動こうとしている。

「あなたに何のメリットが」
雅の問いに橘は心の底から楽しそうに笑った。

「メリット?そんなものあるわけないだろう」
彼はグラスを掲げると雅にウインクした。
「最高のショーが見られる。それ以上の報酬がどこにある?」

第4章:富裕層が学ぶ【CIPS(国際不動産スペシャリスト)】、悪魔の共闘

翌朝。
ゲームは早くも動き出した。
橘隼人の手にかかればJ.J.・ハタナカのような男を懐柔するなど造作もないことだった。
彼はJ.J.に接触するとこう持ちかけた。

「君面白いじゃないか。日本の金持ちを手玉に取るその手腕気に入ったよ。もっと大きなゲームをしないか?僕が資金を出す。君のそのダーティなスキルで一緒に日本の富裕層を喰らう巨大なファンドを作ろう」

それはJ.J.にとって悪魔の誘いだった。
目の前の男は自分以上の悪党。
そして自分を遥かに超える大物。
J.J.は橘を新たな神と崇め心酔した。
彼をパートナーだと信じ込んだ。

その日の午後。
雅は咲子の代理人として再びJ.J.と対峙していた。
雅はCIPSの知識に基づき契約の矛盾点を執拗に突き続ける。
膠着状態を演出しJ.J.の注意を自分に引きつけておくためだ。
その裏で橘と螢が動いていた。

橘はJ.J.のオフィスにいた。
ビジネスパートナーとして招き入れられた彼は堂々と内部を闊歩する。
「君の仕事ぶりを見せてもらおうか」
その一言でJ.J.のPCを覗き込む許可を得た。

その瞬間を待っていた螢が動く。
日本から放たれた彼女の矢は橘が開いた僅かな扉を通り抜けJ.J.のシステムの奥深くまで潜行した。

全ては数分間の出来事だった。
橘はJ.J.の注意を巧みに逸らし螢は必要なデータを全て抜き取った。

雅の元に螢からミッション完了の短いメッセージが届く。
雅はJ.J.との不毛な交渉を打ち切ると静かに席を立った。

盤面は完全に動いた。
あとはこの哀れな蛇に自らの罪を告白させるだけ。
そのための舞台を橘は用意し始めていた。

富裕層が学ぶ【CIPS(国際不動産スペシャリスト)】、世界の不動産を支配する知性

神楽坂雅と橘隼人。
二人の天才が、J.J.・ハタナカという悪徳ブローカーを追い詰める中で、その知性の核となったのが、**CIPS(国際不動産スペシャリスト)**の知識だ。

CIPSとは、不動産の国際取引に関する専門知識を体系的に学ぶ資格。
国ごとに異なる法制度、税制、商習慣、そして市場の動向を深く理解することで、あなたは、海外の不動産市場における「情報の非対称性」という壁を打ち破ることができる。
雅が、J.J.の契約書に潜む矛盾を見抜き、橘が、彼のビジネスの嘘を暴けたのも、CIPSが与える**『真の価値を見抜く眼』**があったからに他ならない。

あなたも、海外不動産という未知の領域で、ただ情報に流されるだけの傍観者で、終わりたいか?
それとも、彼らのように、世界の不動産市場を、自らの『知性』で、支配するプレイヤーとなるか?

そのための、確かな一歩が、ここから始まる。

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第5章:富裕層が学ぶ【CIPS(国際不動産スペシャリスト)】、摩天楼のブラフ

橘が用意した舞台はマンハッタンで最も格式高い会員制クラブだった。
彼はJ.J.をそこに招いた。
「僕らの新しいファンドの最初のプレゼンを君に任せたい」
その一言でJ.J.は有頂天になった。

橘という大物に認められたい。
自らの腕前を証明したい。
その一心でJ.J.はプレゼンの準備に没頭した。
彼は自分の「最高の成功事例」として今まさに進行中の咲子の案件をプレゼン資料に盛り込んだ。
それが橘が仕掛けた罠であることなど知る由もなく。

プレゼン当日。
重厚な調度品に囲まれた一室。
そこに座っているのは橘隼人ただ一人。
J.J.は最高の舞台に少しだけ緊張しながらもスクリーンに資料を映し出した。

「――こちらが私のメソッドです」
J.J.は得意げに語り始めた。
「まずターゲットとなる日本の富裕層に夢を見せる。この物件のようにね」
スクリーンには咲子が買うはずだったペントハウスの写真。

「次に隠された抵当権。この存在を巧妙に隠蔽し偽の登記情報を用意する。これが私の腕の見せ所です」

彼は自らの詐欺の手口をまるで輝かしい成功譚のように語っていく。
咲子との会話の録音。
偽造した書類のデータ。
悪徳金融業者との共犯関係を示唆するメール。
その全てを彼は自らの「能力の証明」として惜しげもなく披露していく。

橘はただ黙って聞いていた。
その表情は能面のように変わらない。
だがその瞳の奥では目の前で繰り広げられる愚かな男の独演会を冷ややかに観察していた。

プレゼンは最高潮に達した。
J.J.は自信に満ちた顔で橘に問いかけた。
「いかがでしたかな橘様。これが私のやり方です」

「ああ素晴らしいプレゼンだったよ」
橘はゆっくりと拍手をした。
そして彼は静かにこう告げた。
その声は部屋の空気を一瞬で凍りつかせるほどの冷たさを宿していた。

「――その素晴らしいプレゼンの全てを録画させてもらった。…君の罪の告白の、完璧な証拠としてね」

第6章:富裕層が学ぶ【CIPS(国際不動産スペシャリスト)】、自滅への円舞曲(ワルツ)

橘の冷たい宣告。
J.J.の思考が完全に停止した。
録画。
証拠。
罪の告白。
その単語が彼の脳内で意味を結ぶのに数秒を要した。

彼が顔面蒼白になったその時。
部屋の奥の扉が静かに開かれた。
そこに立っていたのは神楽坂雅。
そして彼の隣には毅然とした表情の高遠咲子がいた。
彼女の後ろにはニューヨーク市警の捜査官が二人控えている。

「な…ぜ…」
J.J.は絞り出すように呟いた。

橘はつまらなそうに肩をすくめた。
そして部屋の壁に埋め込まれたマジックミラーを指し示す。
「君の素晴らしいプレゼンはそこにいるお客様方もじっくりと拝見させてもらったよ」
J.J.がその黒い鏡を見た瞬間。
鏡の向こう側から無数のカメラのフラッシュが一斉に焚かれた。
そこには郷田健介が手配した日米のマスコミが待ち構えていたのだ。

郷田は今回の事件に直接関わらない。
だが橘は彼に一枚の情報をリークしていた。
『面白いショーが見られるぜ』と。

J.J.は全てを悟った。
自分は最初から最後までこの二人の天才の掌の上で踊らされていただけなのだと。

「J.J.・ハタナカ」
雅の声が静かに響いた。
「高遠咲子様への詐欺未遂容疑。及びそれに伴う数々の不正行為。その全ての証拠は揃いました」

咲子はJ.J.の前に進み出た。
その瞳にもはや迷いも不安もない。
「あなたが踏みにじろうとしたのは私と亡き夫の夢そのものでした。ですがその夢は決してあなたのような人間には汚させはしません」

その気高い言葉がJ.J.にとって最後のとどめとなった。
彼は力なくその場に崩れ落ちる。
捜査官が彼の両腕に冷たい手錠をかけた。
ゲームは終わった。
完璧なチェックメイトだった。

第7章:富裕層が学ぶ【CIPS(国際不動産スペシャリスト)】、勝者の流儀

J.J.・ハタナカが連行され騒然とする部屋。
その喧騒を背に橘隼人は静かに席を立った。
彼は雅の隣を通り過ぎる時足を止めた。

「なかなか楽しめたぜ神楽坂」
その顔には満足げな笑みが浮かんでいる。
「君とのゲームはいつだって最高だ」

「…私はゲームをしたつもりはございません」
雅は静かに応じた。
「依頼人の夢を守った。ただそれだけです」

その答えを聞き橘は心の底から楽しそうに笑った。
「だから面白いんだ君は」
彼は一枚のカードを雅の胸ポケットに滑り込ませた。
「今回のショーのギャラだ。好きに使うといい。…貸し一つだぜ」
そう言い残し橘は颯爽と部屋を去っていった。
嵐のような男だった。

雅は残されたカードに目を落とした。
それは橘が所有するプライベートバンクのブラックカード。
限度額など存在しない魔法のカード。
雅は静かにそれを懐にしまうと咲子の元へと向き直った。

彼女はまだ少し震えていた。
だがその瞳には強い光が宿っている。
「雅さん。ありがとうございました」
「いえ。私ではございません。あなたご自身の強さが夢を守ったのです」

雅はそう言うと窓の外に広がる摩天楼の景色に目を向けた。
J.J.が咲子に売ろうとしていたあのペントハウスが見える。
詐欺師はいなくなった。
だが抵当権の問題はまだ残っている。

咲子の夢はまだ半分しか叶えられていない。
雅の本当の仕事はここからだった。
CIPSの専門家として彼女の夢を完璧な形で実現させるための最後の仕事が。
雅は咲子に穏やかに微笑みかけた。
「さあ咲子様。本当の家探しを始めましょうか」

第8章:富裕層が学ぶ【CIPS(国際不動産スペシャリスト)】、本当の楽園

数日後。
雅は高遠咲子をある場所へと案内した。
それはJ.J.が提示したペントハウスと同じビル。
同じようにセントラルパークを一望できる別の部屋だった。

「…雅さん。ここは…」
咲子は戸惑いの表情を浮かべた。
あの忌まわしい事件があったビル。
彼女の中にはまだ小さなわだかまりが残っていた。

雅は静かに語り始めた。
「J.J.の事件の後私はこのビルの本来のオーナーと直接交渉いたしました」
彼はCIPSの専門家として全ての権利関係を洗い直した。
そしてオーナー自身もJ.J.の詐欺行為の被害者の一人であったことを突き止めたのだ。

「オーナーは深く感謝していました。そしてこの部屋を本来あるべき適正な価格で咲子様にお譲りしたいと」

雅が提示した価格はJ.J.が提示したものよりも遥かに安くそして何よりもクリーンなものだった。
隠された抵当権などもちろんない。
CIPSの知識が詐欺の罠を暴きそして正当な取引への道を切り拓いたのだ。

だが雅はこう続けた。
「…ですが咲子様。あなた様にはもっと相応しい場所がある」

雅は咲子を連れてその部屋を出た。
そして彼が最後に案内したのはマンハッタンの喧騒から少し離れた静かな住宅街にある小さなタウンハウスだった。
豪華さはない。
だが窓からはハドソン川の穏やかな流れが見えそして屋上には亡き夫が好きだったという薔薇を植えるための小さな庭があった。

「先生は賑やかな場所よりも静かな場所を好む方でした」
雅は咲子の亡き夫を思い出しながら言った。
「そして何よりもあなた様が穏やかに暮らせる場所を望んでいたはずです」

その言葉に咲子の目から涙が溢れ出した。
彼女が本当に欲しかったのはステータスとしての摩天楼ではない。
夫との思い出と共に静かに暮らせるささやかな楽園だったのだ。
雅は彼女の心の奥底にある本当の夢を完璧に理解していた。

「ここにいたします」
咲子は涙を拭い晴れやかな笑顔で言った。

雅は静かに頷いた。
CIPSの真価。
それはただ不動産取引を成功させることではない。
人の人生に寄り添いその人が本当に求める『家』へと案内すること。
それこそが彼の仕事であり彼の誇りだった。
ニューヨークの空の下亡き恩師との約束が最高の形で果たされた瞬間だった。

富裕層が学ぶ【CIPS(国際不動産スペシャリスト)】、夢を叶える知恵

J.J.・ハタナカという悪徳ブローカーは排除された。
しかし、高遠咲子さんの夢の実現には、まだ困難が残っていた。
その時、神楽坂雅が、CIPSの知識と、不動産市場を読み解く『真の知恵』を駆使し、彼女の人生に、最高の『家』という形で、寄り添った。

CIPSは、単なる不動産取引の技術ではない。
それは、**人々の夢や人生に、深く寄り添うための『羅針盤』であり、複雑な国際取引の闇から、大切なものを守り抜く『最強の盾』**なのだ。
世界の不動産市場で、詐欺師の甘い言葉に惑わされず、自らの手で、本当に価値のある物件を見つけ出す。
そして、愛する人の、人生最高の『買い物』を、完璧にエスコートする。

それこそが、CIPSが、あなたに与える、真の価値だ。

あなたも、国境を越え、人々を幸せに導く、最高の『案内人』となってみませんか?

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エピローグ:富裕層が学ぶ【CIPS(国際不動産スペシャリスト)】、繋がる航路

数週間後。
マンハッタンの喧騒から少し離れたハドソン川沿いの小さなタウンハウス。
屋上の庭には色とりどりの薔薇が咲き誇っていた。
高遠咲子はそこで穏やかな笑顔で川の流れを見つめている。
彼女の隣には神楽坂雅が静かに立っていた。

「雅さん。本当にありがとうございました」
咲子は心から感謝の言葉を述べた。
「先生もきっと喜んでくださっているでしょう」

「ええ。きっと」
雅は微笑んだ。
J.J.・ハタナカはニューヨーク市警に逮捕され彼の悪質な不動産詐欺の手口は日米のマスコミで大きく報じられた。
咲子さんは夢の家を手に入れ今は心からの安堵と喜びに満たされている。

CIPSの真価。
それは危険を回避するだけではない。
人の人生に寄り添いその人が本当に求める『家』へと案内すること。
それこそが彼の仕事であり彼の誇りだった。

雅は咲子さんの手を取り穏やかに言った。
「これからもお元気で。そして先生との思い出を大切に」

そう言うと雅は静かにタウンハウスを後にした。
彼の視線はハドソン川の彼方へと向けられている。
そこには今まさに小型のクルーザーが滑るように進んでいくのが見えた。

そのクルーザーの操舵を握るのは一人の日本人女性。
一条怜。
彼女は白いシャツに身を包みサングラスをかけハドソン川の風を一身に受けていた。
そして怜の隣には不敵な笑みを浮かべた橘隼人の姿がある。
彼は片手に双眼鏡を持ち川岸の何かを鋭く見つめているようだった。
二人はどうやら別の事件を追いハドソン川の深みへと向かっているようだった。

雅は微かに笑みを浮かべた。
(…まったく。あの二人が組むとはね)
彼の脳裏に九条翔の顔が浮かぶ。
(あの男が見たら一体どんな顔をするだろうか)

ハドソン川のクルーザーは遠く小さくなる。
川面を見つめる雅の瞳には冷徹な知性とそして深い正義感が宿っていた。
それぞれの航路。
だがその航路はいつか再び交わるだろう。
摩天楼の光が揺れるハドソン川の水面を見つめながら彼は静かに呟いた。

「…次なるゲームの始まりですかな」

【編集後記】外交官の遊戯、摩天楼のゲーム

最後までお読みいただき、誠にありがとうございます。

『外交官の遊戯 File.04 摩天楼のゲーム』、お楽しみいただけましたでしょうか。

いやー、今回の橘隼人さん、最高に、カッコよかったですね!
「美しくないプレイヤーは許さない」という、彼なりの美学と、あの、人を食ったような、笑顔!J.J.を、手のひらで、転がす姿は、まさに、ゲームメーカーの、真骨頂でした。
そして、雅さんとの、あの、静と動の、絶妙なコンビネーション!

…からの、まさかの、エピローグの、橘さんと、怜さんの、ハドソン川での、共演…!
「怜さんの、隣に、橘」って、誰が、想像しましたか!?(笑)
雅さんの、「まったく、あの二人が組むとはね」の、モノローグ、私も、心の中で、全く同じこと、思いました(笑)。これは、ユニバースファンには、たまらない、サービスでしたね!

今回、物語の鍵となった「CIPS(国際不動産スペシャリスト)」。
それは、単なる、海外不動産の、知識ではありません。
雅さんが、咲子さんの、本当の夢を、見つけ出し、導いたように、人の人生に、寄り添い、希望を、叶えるための、温かい『知恵』なのだと、感じていただけたなら、幸いです。

さて、橘と怜は、ハドソン川で、何を見つけるのか?
雅と螢の、真実を求める旅は、まだまだ続きます。

この『外交官の遊戯』は、怜の『14の資格を持つ女』、栞の『月影庵の事件簿』、そして九条の『帝国の羅針盤』と、同じ時間軸で進行しています。
四つの物語が、これからどう交錯していくのか。ぜひ、全ての視点からお楽しみください。

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