
富裕層が“土地”に惹かれる理由とは?
単なる不動産投資とは違う“感性重視”
富裕層が土地を選ぶとき、それは利回りや将来の価格上昇だけでは語れない。彼らが重視するのは、「その場所にどんな空気が流れているか」。たとえば、四季の移ろいが感じられるとか、静けさの中に文化の匂いがあるとか。もはや数字では測れない世界観が、判断基準になるのだ。
さらに、富裕層は「所有すること」そのものに価値を見出す。たとえ今は使っていなくても、気に入った土地を“押さえておく”という感覚が強い。その背景には、自分の未来の時間や空間を確保するという意識がある。自分だけの隠れ家、家族だけの静かな場所、そういった“余白”を求めるのが彼らのスタイルなのだ。
なぜ“意外な土地”を選ぶのか?
有名すぎる場所は、もはや誰でも知っている。だからこそ、あえて“人がまだ気づいていない場所”を選ぶのが富裕層流。人目を避けて静かに過ごせる、でも未来に価値が出るかもしれない──そんな“ちょっと先を読む嗅覚”がある。
また、意外性のある土地には“価格の伸びしろ”がある。ニセコのように、数年前までは「ただの雪国」と言われていた場所が、今や国際的リゾートに変貌したように、土地は“化ける”可能性を秘めている。富裕層はこの“変化の兆し”を敏感に察知し、周囲が動く前にすでに動いている。
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富裕層が注目する“次のニセコ”候補地たち
北海道・富良野|静かな熱狂が始まっている

ニセコに続けとばかりに、今密かに注目されているのが富良野。ラベンダー畑で有名なこの地は、実は夏のリゾート地として国内外から人気が高まっている。すでに一部では外国人による不動産買収も始まっていて、まさに“次のニセコ”感が漂っている。
特に富良野の魅力は、“観光地化されすぎていない”点にある。まだ手つかずの自然が多く残っており、ログハウスやグランピングヴィラの開発が進む中で、「静かに贅沢な時間を過ごしたい」という層からの人気が高い。さらに、北海道新幹線の延伸によって、今後はアクセスの改善も期待されている。
岩手・安比高原|東北の“隠れニセコ”

あまり聞きなれないかもしれないが、安比高原も実はすごい。パウダースノーの質が高く、今後の開発が期待されているエリア。まだ地価も控えめで、今のうちに買っておけば…なんて話がチラホラ。ちなみに、地元の人に聞くと「昔から変な外人が土地見に来てたよ」なんて都市伝説もあったりする。
安比高原は、かつてのバブル期にも開発の波が訪れたが、その後しばらく停滞していた。だが最近になって、再び外資系の動きが活発化しており、高級ヴィラや長期滞在型のリゾート構想が浮上している。自然の質と静けさ、そして“穴場感”がうまく融合している、まさに富裕層好みのエリアだ。
三重・伊勢志摩|“信仰と静けさ”を求める層に

伊勢神宮のお膝元、伊勢志摩。サミットも開かれたこのエリアは、近年ひそかに再注目されている。富裕層にとって、海の景色と神域の空気が交差するこの場所は、ただのリゾートではなく“整う土地”として選ばれる。地元の人曰く「急に高そうな外車が別荘の土地見に来るようになった」とか。
伊勢志摩の魅力は、単なる観光地ではなく、“精神性”を大切にする空気があること。神宮参拝を日常に取り入れるライフスタイルを目指す人々にとって、この地はただの土地以上の意味を持つ。また、真珠の養殖や海産物も豊富で、地元の食文化と融合した暮らしを求める層にも人気だ。
新潟・妙高高原/群馬・水上温泉も要注目

雪と温泉と森。妙高や水上といったエリアは、いわば“和リトリート”の象徴。海外のリモートワーカーや瞑想家たちが、こっそりヴィラを購入しているなんて噂も…。東京からも数時間で行ける静けさが、富裕層の心をくすぐっている。
近年は“自然とともに整う”をキーワードに、都市生活の対極にある環境が求められている。妙高や水上では、ヨガスタジオ付きの宿泊施設や、オーガニックな山小屋暮らしの体験プログラムも登場。海外の富裕層が「禅のあるライフスタイル」を求めて長期滞在するケースも増えている。
土地選びの判断軸|“目に見えない価値”とは?
「歴史・文化的文脈」のある土地
古くから文化人が好んだ土地、なぜか画家や作家が集まったエリア、寺社仏閣に守られた集落…。こうした“なんとなくありがたい空気感”も、実は富裕層が土地を選ぶうえで重要なポイント。
例えば、京都の嵯峨野や鎌倉の山手エリアなど、いわゆる“文化の香りが残る場所”には、目立たないが確実に富裕層が集まる。土地に流れる歴史や美意識、それが“心の豊かさ”とつながっていることを、彼らはよく知っている。
「人が集まる前に動く」富裕層の感覚
“あそこ、まだ安いよね”と言われてる時期に、もう土地を押さえている──これが富裕層のすごさ。情報を待つのではなく、空気で察知する。もはや「土地の波動」レベルで選んでいるのかもしれない。
実際、多くの富裕層は「情報の裏」を読む力を鍛えている。ニュースにはならないが、地元でひそかに話題になっている土地、開発前の計画段階で話が出回っている場所──そういう“まだググっても出てこない情報”こそが、真の資産価値を生むのだ。
まとめ|真のラグジュアリーとは「誰もいない場所を選ぶ力」
最先端でもなく、有名でもない。でも、その場所には“まだ誰も知らない価値”がある。真の富裕層が求めているのは、ブランド化された場所ではなく、自分だけの世界に浸れる“まだ名前のついていない静けさ”なのかもしれない。
土地は「買う」ものではなく、「感じる」もの。そんな視点で物件を見ている人たちが、世の中には確かにいる。そしてその“感覚”こそが、未来のラグジュアリーを形作っていく──そんな時代が、もう始まっているのかもしれない。